「トポール」と「ローラン」

三鷹台駅の近くに存在するケーキ店「ローラン」。

「ためらい坂」に登場するケーキ店「トポール」。

特に店舗やロケーションが似ているわけではないが、2つのケーキ店の名前を組み合わせると、フランスのイラストレーター・作家の「ローラン・トポール」の名になる。作中の「トポール」にはタンクローリーが突っ込んでしまったという洒落にならない設定があるため、そのままモデルとしたわけではないだろうが、ケーキ店の名前を考えるヒントになったのかもしれない。

ローラン・トポールについて、諸星先生は「(トポールの)マンガはよく知らないのですが、この人が原画を描いたアニメ『ファンタスティック・プラネット』が好きです」(「不熟」高橋葉介との対談から)と語っている。「マンガはよく知らない」との発言ではあるが、諸星先生が「澁澤龍彦にはまっていた」(「東京人」2014年4月号 特集:ガロとCOMの時代 インタビュー記事より)という70年代初頭ごろ、ちょうど澁澤が「マゾヒストたち」日本語版を編纂するなどトポールを国内に紹介しており、当時からその名はよく知っていたのではないだろうか。

作中で「おいしい!」と言われる「トポール」のケーキだが、三鷹台「ローラン」のケーキも負けていない。一見、その店構えと同じ様にレトロな「定番」ケーキが並んでいる様にも見えるが、じっくり見て、そして食べてみるとひとつひとつにお店の個性とこだわりが感じられる。甘すぎない替わりにフルーツやクリームの素材の甘さと旨さが印象に残り、満足感がありながら同時に「もう1つ2つ食べたいな」とも思ってしまう美味しさだ。「ローラン」は例年6月後半から9月末くらいまで長期休業するので、秋の涼しくなったころに是非訪れて欲しい。

ちなみに「ローラン」の店舗と若干似た建物が、作中の「ためらい坂」を下った突き当たりに描かれている。

諸星大二郎「栞と紙魚子」からの引用は 作品リスト [1995-07](26)ためらい坂 より。

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