石神の祠

「天気雨」に登場する「石神の祠」には、モデルになった神社が存在する。

鬱蒼とした丘の上、というロケーションもそのまま。

「扁額もないわ」モデルとなったこの神社も、謎の場所として話題に上ることがあるが…。

モデルとなったこの神社は「大熊稲荷浅間神社」である。階段の両側には「正一位稲荷大明神」「富士山仙元大菩薩」と刻まれた石塔が立っている。社殿の中には小さな稲荷の社がぽつんとあるだけなのだが、この丘自体が富士塚であり、富士山信仰と稲荷信仰の両方の目的で建てられた神社なのではないかと考えられる。(この階段=参道は栞たちが登った反対側の斜面に位置するのだが「荒れ果てた感」を出すためか作中には描かれていない)

いつも人がおらず、打ち捨てられたと考えられる事もある小さな神社だが、作中に描かれるほどボロボロではなく最低限の補修はされている。「頸山のお化け鳥居」に登場する頸山神社の社殿も、この神社の社殿をモデルにしているようだ。

社殿の脇には小さな社の痕跡がある。作中の「石神の祠」に少し似ていなくもない。

この丘の周辺の地形も、作品に利用されている。

この神社は頸山(久我山)駅から人身街道(人見街道)を下ってすぐに位置していた。街道を神社側へまがるとすぐに肝田川(神田川)にぶつかり、栞が生首を放流した辺りにも近い。

神社は2015年ごろから周囲の木が切られ始め社殿がよく見える状態になっていたのだが、翌年には周囲の土地を削って宅地とする工事が始まり、2017年には社殿も解体されてしまった。現在は住宅地となっている。写真は木が切られて社殿がよく見える様になった頃のもの。

諸星大二郎「栞と紙魚子」からの引用は 作品リスト [2008-01]天気雨(1) [2008-03]天気雨(2) [2008-05]天気雨(3) [1997-11]頸山のお化け鳥居 より。

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