児童公園

「ゲッコウカゲムシ」「足跡追って」に登場する公園は、「三鷹台やすらぎ児童公園」をモデルにしている。

藤棚、アスレチック遊具、そして木の周りをぐるっと取り囲むベンチが特徴的なこの公園は「栞と紙魚子」シリーズでも井の頭公園に続いて頻出する公園である。舞台として大きく取り上げられるのはこの2作だが、「弁財天怒る!」でも洞野たち映画サークルが撮影を行っているシーンの背景として登場する。

「ゲッコウカゲムシ」ではアスレチック遊具の一部がブランコになっていたり、砂場の位置が異なって描かれているが…。

「足跡追って」では現在(2015年)の公園と同じ遊具の配置で、さらにアスレチック遊具の細部まで正確に描かれている。「足跡追って」の発表は「ゲッコウカゲムシ」の約1年後なので、その間に公園の改装工事があったのかも知れない。(あるいは「ゲッコウカゲムシ」では舞台となる公園に関して怪談めいた噂話が語られるシーンがあるため、実在の公園との関連を薄める様にアレンジしたのかもしれない)

円周状のベンチは作品の背景でも特徴的で目立つ要素なのだが、実在のものは円周のうち半分以上が欠けている。経年劣化で壊れて取り外されたものなのか、元々この状態で作品に描かれる際にアレンジされたものなのかは不明。

この公園には住宅の間を縫う様に作られた細い路地を通らなければ入れない。公園の入り口は住宅が建て替わり様子が変わっているが、雰囲気は残っている。作品の背景ではフレームアウトしている「歩行者専用」交通標識の人物シルエットが「ゲッコウカゲニンゲン」を思い起こさせる所が面白い。

なおこの記事作成後、アスレチック遊具が金属とプラスチック素材のカラフルなものに更新されたので、作品に見られる印象は薄れてしまった。

諸星大二郎「栞と紙魚子」からの引用は 作品リスト [1995-11]ゲッコウカゲムシ [1997-05]足跡追って より。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back To Top