散歩道(足跡追って)

「足跡追って」で栞と紙魚子が「アッチー」を探すおじいさんと出会う、擁壁の続く道。この道は以前紹介した「児童公園」の近くにある。(撮影時のカメラ位置の関係で、一周して「元の場所」に戻った時のコマと比較している)(以下、写真は基本的に2015年の撮影で、現在は様子が変わっている箇所もある)

ここからアッチーは、「散歩道」に入っていく。新装版1巻掲載の「あとがき」で「よく出てくる散歩道も、実際にあります。」と書かれている散歩道の事だ。作中でアッチーが辿る順番にモデルとなった場所の位置を当てはめるとあちらこちらへ飛んでおり、作品は現実の位置関係を反映していない事がわかるが、ここではアッチーの足跡を追って行く順番に紹介したい。

生垣と擁壁に挟まれた細い道。擁壁の補強のための形状が面白く、生垣の長さと合わさって忘れられない光景を作っている。この道は「長い廊下」にも登場する。作中では擁壁の上半分に植物が生い茂った様に描かれているが、当時その様な状況だったのか、作中のアレンジかは不明。

この周辺、玉川上水と神田川に挟まれたエリアには、上水から川へと水を流す水路が複数存在していた様だ。これらの水路は周辺が住宅地化される際に暗渠化されたが、暗渠の上は「暗渠道」とも呼ばれる歩行者専用道として整備され、遊歩道や周辺住民の生活道路として使われている。「散歩道」もこういった暗渠道の1つだ。

実は「散歩道」はシリーズの最初から登場しており、生垣と擁壁の間の道の少し先が「生首事件」の冒頭で登場する道である。写真を撮影したタイミングは丁度作中に描かれていた塀が取り壊されてしまったタイミング。現在は新しい塀と集合住宅が建っているため、少しわかりにくくなっていそうだ。

さらにアッチーは「児童公園」へと入っていく。(すでに「児童公園」で紹介したが、写真を再掲する)この公園は「散歩道」の途中、暗渠に沿う形で存在している。公園の全2箇所の出入り口が両方とも暗渠道という作りは、暗渠ファンに人気があったりしそうだ。

公園の先で散歩道は周囲の宅地よりも少し低い位置を通る様になる。住宅地に挟まれた狭い谷の様だ。(この写真のみ2021年撮影)

この後アッチーは鴻鳥さんの「蔦屋敷」、洞野達が撮影をする「小公園」、クトルーちゃんが遊ぶ「股川上水」を通り、住宅地に挟まれた畑を通り抜けて、この記事冒頭の「元の場所」へと戻ってくる。

余談だがおじいさんが「ラーメンとチャーハンとギョーザ」を食べてきたのは、位置関係とメニューから「成喜(ナルキ)」のイメージだったかもしれない。現在は残念ながら閉店してしまった(店舗の建物と看板が残っているため、長期休業中かもしれない)が、のれん分けの元となった「中華成喜」が川崎に今も存在している。

諸星大二郎「栞と紙魚子」からの引用は 作品リスト [1997-05]足跡追って, [1995-01](23)生首事件, [2014-09]あとがき より。

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